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その時だった。ワカキツネが向いた方角から、機械兵の三体が飛び上がってきた。仲間がやられたことに気づいてやって来たのである。
しかし、ワカキツネが大きく振った大太刀の一閃だけで、すぐに三体とも銅を真っ二つにされた。その衝撃波による音が斬った後からビューンと鳴り響く。
リーバは「す、すごい」と率直な感想が口から出た。
それは人間にとっては脅威な力であるにも関わらず、これが妖怪だと知って感心してしまったのだった。
「…さて、もうリーバとはお別れしなくちゃいけない。残念だけど邪魔が入ったからしょうがないね」
「もう少し待ってくれ。最後にお願いがある。仮面の下を知りたい!君の素顔が見たいんだ!」
「…嫌だ」
「ダメなのか?」
「君は素顔を見せないのは不公平だから。僕の顔を拝みたかったら生身の姿で会いに来なよ」
ワカキツネがそういうとリーバの通信映像が真っ暗になった。どうやら、とどめを刺されたらしい。
リーバは通信カプセルから出ると疲れと共にため息がでた。
その一方で、ワカキツネもまた同じくため息をついていたのである。
(『すごい』か。気にいらないなぁ)
自分に、妖怪に、興味を持ってくれるのは嬉しいことだったが、リーバがあまり恐怖を感じていないように見えたのが不満であった。
今こっちに向かって来ている有象無象のロボットたちもそうだ。力を見せつけたのに警戒なしに突っ込んでくる。
敵がひとりだからか、それとも子どもだからか、理由は知らないが不快であった。
どちらにせよ、今の地球に住む人間たちは妖怪の恐ろしさを忘れてしまったらしい。
ワカキツネは大太刀を強く握った。
(そうだ、暇つぶしのかくれんぼは終わりにして次は鬼ごっこにしよう!)
それから、瞬く間にリーバ隊の機械兵たちは全滅したのであった。
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