(仮)夢見るゴリラが恋をしたღ

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兄も同様にヒトの姿。
白のワイシャツに、
こちらは、
ストライプのネクタイ付き
黒のパンツとベルト。
靴は、
履いたこともないローファー。

お互いに
お互いの姿しか見えないから
自分の全身像が、
どんなかなんて、
なかなか想像は出来なかったが、
ポイントごとに見えるその姿は
紛れもなく、
ヒトの姿だった。

でも、なんで、
ヒトの姿になりたかったのか、
肝心のことが、
ぼんやりとしてしまい、
振り続ける雨音に
かき消されそうなため息を
ついた。

いつも頼もしい兄がため息をつく姿に不安がよぎる弟も、
せっかく望んだヒトの姿が、
あまりにも水浸しの状況で、
早くも、
願い事の内容の選択を
間違えたことに、
後悔し始めていた。

ずぶ濡れのふたりで目を合わせ、
今度は
盛大なため息を
ついたその瞬間だ。