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あの日 地上へ降り立った卵な自分を やさしくとらえ 周りに気づかれぬよう こっそり大事に自分を育ててくれた2頭のゴリラ ここまで育ててくれたご恩返しに 今夜 もと来た星に戻るぴよこが告げる。 「お兄様たちの願いをひとつかなえましょう。」 夜の闇がますます深くなっていく。 さらに ぽつぽつとしていた雨粒が どんどん速さを増してきて 粒の大きさまでも変化してきた。 夜の闇の隙間に見えた星の瞬きが 徐々に強くなっていく。 まあるい光の中にいる小さなぴよこが 少しだけ 首を持ち上げたその瞬間。 薄く白銀にひかる羽をひろげると その体は クジャクにも白鷺にも似た まばゆい夜銀鳥(やぎりとり)へ変化した。 その姿を美しく 目の前で変化させていったぴよこの姿に 兄弟ゴリラは、目を合わせ、 小さくうなづき 微笑んだ。 満足そうにうなづく兄弟の様子に 成長したぴよこが コクリとうなづいて 2頭の願いを 待っていた。 2頭の願いは ただひとつ 「ヒトになってみたい」 兄の答えたその言葉に 夜銀鳥がゆっくりうなづき、羽を一振した 瞬間 一気にすべての光が消えて 黒雲が天空に拡がった。         ❃
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