【そこはバス停】

1/1
前へ
/37ページ
次へ

【そこはバス停】

どのくらいの時間が過ぎたのか ギュッと瞑った時間の長さは計れないけど 降り注ぐ雨粒の強さが激しすぎて 目を開けることも困難だった。 だけどさっきより 緩やかになった雨の気配。 そばにいるはずの弟の様子を確認したい気持ちから 兄はうっすら目を開けて仰天した。 稲光の不気味な鮮やかさおかげで 夜といえど周りの様子が把握出来る。 「ここは?」 「にぃ?」 自分たちの口から零れる言葉の響きに お互いが目を合わせた。 それからゆっくり周りを見渡すと だだっ広い畑の真ん中に 大きな道路があって、 びちゃびちゃに、 濡れそぼってしまった 兄弟にはありがたい こじんまりとした 屋根付きの小屋が見えた。 ❃
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加