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「ごめんなさいね。」
頭に響いてくる音に
ギョッとしたものの、
そのゆるやかなあたたかさと
ふんわりとしたヴェールのような
心地良さに、
駆け抜けた時間の変化への
恐怖も薄れてきた。
「ほんとは、もっと、
ゆっくりご褒美を楽しんで
頂きたかったのだけど、
ちょうど、日が悪く、
カミナリサマのお散歩に
すれ違ってしまって。」
申し訳なさそうな音色に、
思わず、兄弟は、
かぶりを振った。
「ヒトでいられる時間は、
次の星降る夜が来るまでの
わずかな時間。
カミナリサマノイタズラを
止めていられるのもその間。」
どこまで、理解出来たのかは
わからないが、
とりあえずの体裁で
うなづいてみる。
すると、夜銀鳥が、
細く、雅な銀糸を結いあわせたかのような美しい羽を拡げ、
「どうか、しあわせな時間を
あなたがたに・・」
と、残して飛びたった。
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