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桐山の事情
桐山 流星は、エージェントだ。
エージェントと一口に言っても
世には様々なエージェントがいる。
しかし彼は、
相当レアなエージェントに属する。
名前は大々的に言えないが、
世界の危機を裏で救う組織の
エージェントだ。
○○議員を党首とする○□党の支援もあり、
世界を股に掛けて活躍する組織である。
桐山は組織でも一目置かれる程の
役立たずだ。
これまで達成した任務は全て、運。
犯罪組織を壊滅したときも、
運。
核爆弾を日本に持ち込ませなかった時も、
運。
とにかくラッキーなので組織に末席を与えられている。
そんな桐山も年貢の納め時なのか
今、世界が滅びかけていた。
地球はあと15分ほどで、
爆発する。
仕組みはよく分からないが、
爆発するらしい。
それを何とかする機械がある。
Xとでも読んでおこう。
Xは桐山が持つ鍵を差し込むことで、
地球を救う。
今、研究者が急いで桐山の居る場所へ
Xを運んでいる。
その場所とは…
○
遅い。
流石に桐山は心配になってきた。
Xは発動から1秒で地球を救うらしいから、
まだ猶予はある。
ここはファミレス。
よくあるファミレス。
しかし、ここに世界の命運が掛かっている。
研究者は受け渡し場所を
ここを指定してきた。
何故ファミレスなのか気になるが
それなりに事情があるのだろう。
にしても遅い。
ファミレスは必要以上に涼しい。
緊張で冷えた体には酷な環境だ。
こんな苦しみで世界が救われるのなら。
そう思って1時間はここに居る。
なのに研究者は一向に来る気配が無い。
運が尽きてきたのかなぁ。
そんなことを思ってみる。
すると、余計に時間が早く過ぎる。
今は11:50。
客も、
渋い顔した男二人組。
目をキラキラとさせている大学生。
ごつい男一人。
一般人は困るんだけどな。
もうこの際は、間に合ってくれれば良い!
頼む!
これからの運を全て消費するつもりで祈る。
チッチッチッチッ
感情を持たぬ時計は止まることは知らない。
○
ついに、題名にもある通り
11:55
各々のタイムリミットが残り5分となった。
あと5分。
漫画家になれるのか、
家族を救えるのか、
世界は救われるのか、
お楽しみに!
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