桐山の事情

1/1
前へ
/6ページ
次へ

桐山の事情

桐山 流星は、エージェントだ。 エージェントと一口に言っても 世には様々なエージェントがいる。 しかし彼は、 相当レアなエージェントに属する。 名前は大々的に言えないが、 世界の危機を裏で救う組織の エージェントだ。 ○○議員を党首とする○□党の支援もあり、 世界を股に掛けて活躍する組織である。 桐山は組織でも一目置かれる程の  役立たずだ。  これまで達成した任務は全て、運。 犯罪組織を壊滅したときも、 運。 核爆弾を日本に持ち込ませなかった時も、 運。 とにかくラッキーなので組織に末席を与えられている。 そんな桐山も年貢の納め時なのか 今、世界が滅びかけていた。  地球はあと15分ほどで、 爆発する。 仕組みはよく分からないが、 爆発するらしい。 それを何とかする機械がある。 Xとでも読んでおこう。 Xは桐山が持つ鍵を差し込むことで、 地球を救う。 今、研究者が急いで桐山の居る場所へ Xを運んでいる。 その場所とは…        ○ 遅い。 流石に桐山は心配になってきた。 Xは発動から1秒で地球を救うらしいから、 まだ猶予はある。 ここはファミレス。 よくあるファミレス。 しかし、ここに世界の命運が掛かっている。 研究者は受け渡し場所を ここを指定してきた。 何故ファミレスなのか気になるが それなりに事情があるのだろう。 にしても遅い。 ファミレスは必要以上に涼しい。 緊張で冷えた体には酷な環境だ。 こんな苦しみで世界が救われるのなら。 そう思って1時間はここに居る。 なのに研究者は一向に来る気配が無い。 運が尽きてきたのかなぁ。 そんなことを思ってみる。 すると、余計に時間が早く過ぎる。 今は11:50。 客も、 渋い顔した男二人組。 目をキラキラとさせている大学生。 ごつい男一人。 一般人は困るんだけどな。 もうこの際は、間に合ってくれれば良い! 頼む! これからの運を全て消費するつもりで祈る。 チッチッチッチッ 感情を持たぬ時計は止まることは知らない。       ○ ついに、題名にもある通り 11:55 各々のタイムリミットが残り5分となった。 あと5分。 漫画家になれるのか、 家族を救えるのか、  世界は救われるのか、 お楽しみに!
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加