それでもあの子は、流れ星に願った。

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 その想定外の大災害は、突如として起きた。4年に一度の世界的スポーツの祭典であるクーベルタンスポーツ大会が東京で始まろうとしていた7月の初めの某日午前だった。  遠い宇宙から飛来した巨大な隕石が、大気圏突入による大きな負荷に耐え切れずに横濱市金沢区沖合の上空で大爆発を起こしたのだ。その際に発生した衝撃波は、爆発地点の上空を中心に東西約50km南北約30kmの歪な楕円球を描くように周辺一帯の地域に襲いかかり、神奈川県南東部や千葉県の東京湾沿岸の一部地域に広範囲に及ぶ建物の損壊や送電線などの重要インフラの破壊といった大きな被害をもたらした。  横濱市港南区も、その渦中だった。数十年前のNR磯子線開通に合わせて開発されたニュータウンで巨大な団地街かつ高級住宅街としても有名な日野台に所在する地域の拠点病院である海永会横濱港南総合病院には、衝撃波による直接の被害や建物の損壊や割れたガラス片で軽重様々な外傷を負った大量の患者が多く押し寄せていた。  地震の揺れを軽減する免震装置や軍で使用される強化ガラスの他、災害対策万全の病院建物内にある停電発生から数日間対応出来る自家発電システムや地下の緊急用大型貯水槽の稼働などで、建物の損壊は何処にも無く病院の機能停止は免れていたが、それでもこの病院の医者及び看護師やスタッフが大量に押し寄せる患者の対応に数時間以上忙殺される事に変わりはなかった。
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