第1話

10/36
前へ
/285ページ
次へ
 日曜日の昼食時。道は人でごった返していた。駅ビルの大型ディスプレイには、西日本に接近している台風についての臨時ニュースが流れていた。  店を出て、駅前通りから一本西の通りに出ると、飲食店が減り人通りも少なくなる。中年の顎髭(あごひげ)の男性と10代くらいのショートカットの女性のカップルとすれ違う。  「あれ、絶対にPJだ(パパ活女子)よな」と宏典が言う。  「そんなことどうだっていいだろ」と直哉が答えると、宏典がふと足を止めて言った。  「もう一度アプリを確認しようよ」  宏典の言う通りだ。情報は多い方がいいに決まってる。  直哉はポケットからスマホを取り出してアプリを立ち上げると、Pushボタンを押した。  『5分後……警告! 北区青羽サファイヤビル外壁工事現場に鋼材が放置されます』  「全く、訳が分からなくなってきたな」  信号を渡ってから、直哉はさらにもう一度、アプリのPushボタンを押した。  『5分後……都市伝説#1 狩野川光 死亡』  ……ちょっと待て。何だって?!…… .
/285ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10935人が本棚に入れています
本棚に追加