第4話

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 帰り道、自転車のペダルを踏みながら、芙蓉は晴斗に訊いた。  「学校で、晴斗の変な噂が立ってるの」  「え? どんな噂?」  「ときどき、晴斗の姿を千歳町で見かけるって」  「あ。それ、合ってるかもしれない」  芙蓉はそれを聞いてびっくりする。  「みんなは、晴斗が夜の街で働いてるんじゃないかって言ってるわよ」  すると晴斗が、ぷっと吹き出した。  「俺が、夜の街で? ホストとか? ……まさか、誓って言うけどそんなことはないよ。俺は記憶が失われている間、毎週、千歳町の心療内科でカウンセリングを受けてたんだ。でも……ひどい噂だな」  「やっぱり。晴斗がそんなことないって信じてた」  「ありがとう。俺が明日学校に行って、根も葉もない噂の後始末するから心配するな」  晴斗はそう言って微笑んだ。  芙蓉は、生きる力が漲る晴斗を久しぶりに見て、心から幸せだと思った。 .
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