第4話

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 ◇◇◇  芙蓉は家でずぶ濡れの衣服を脱ぎ、思い切り温かいシャワーを浴びた。  トラックとの事故以来、心の中に巣くっていたしこりがみるみる溶け落ちていく気がした。  そして部屋着に着替えると、ベッドに寝転んだ。  …… 5分後アプリ、どうなったかな ……  枕もとにスマホを置き、うつ伏せで画面を開くと、アプリを立ち上げた。  …… あれ? Pushボタンが青い ……  芙蓉は、そっとPushボタンに触れる。  『5分後……何も起こりません。平安はあなたを幸せにするでしょう。回答するプリントはありません。 ――100%―― なお今ならアプリのアンインストールが可能です』  …… アンインストールかぁ ……  芙蓉は、はたと考え込んだ。  …… 成績だけ良くても、実態が伴っていなければ苦しいだけ。それに、今回のことで、命がいかに大切なのかよく分かった。自分の個性を大切にして生きた方が、きっと輝きのある人生になる。アプリに頼ったって、いいことはないわ ……  芙蓉は、一度深呼吸をしてから、アンインストールボタンを押した。 .
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