第4話

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 翌週、進路に向けての懇談を前に実力テストが行われた。  そして、テスト後の個人懇談で担任の石塚秀和(いしづかひでかず)先生に言われた。  「お前って、ジェットコースターみたいなやつだな。写真を撮るって……あれ壊れたのか?」  「はい。どうもカメラの調子が悪くなっちゃったみたいで」  芙蓉は視線を落とし頭を掻いた。  「トップからビリに逆戻りだなぁ」  先生はそう言って渋い顔をすると言葉を続けた。  「ところでお前、進路どうするつもりだ?」  芙蓉は伏せていた顔を上げ、先生の目を真っすぐ見詰めると、はっきりとした声で答えた。  「私、映像技術の専門学校に入ります」  「それって、お金かかるかもだぞ」  「知っています。でも私、自分の道は自分で切り開きたいんです」  芙蓉の顔には、生気が漲っていた。 .
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