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◇◇◇
半年後の5月……
芙蓉は東京の小さなレンタルギャラリーで初めての個展を開いた。準備の段階で芙蓉のインスタグラムがタイミングよくバズり、初日にも関わらず思いの外多くの客が来場した。
3日目には壁に飾られた絵の何枚かに『sold out』の札が付けられた。
個展は6日間の予定で行ったが、途中、出展作品を有名なクリエーターが評価し、動画サイトで配信してくれたので、最終日には大変な賑わいになっていた。
会場を閉める直前、1人の男性が会場に入ってきた。ダークグレーのスーツにパープルのネクタイ。
「へえ。凄い人気なんだね」
男性が、数多くの『sold out』の札を見て言った。
「晴斗! 来てくれたんだ。大学の授業は終わったの」
「もちろん。……大成功だな。やっぱり俺の言った通りだろ」
「うん。ありがとう」
「これで芙蓉も、東京の学校で卒業まで過ごせそうだな」
「そうだね……。でも、もう2回ぐらい個展を開かないと無理かな」
「あと2回も開くんだ。勉強どころじゃなくなるな?」
「そんなことない。今勉強してること自分にぴったりっていうか、本当に面白いの。……好きなことはやってても苦にならないのよね。だから心配しないで」
「そっか。ところでさあ、次のデートは来週の土曜の午後でOK? ぜひ個展の成功祝賀会をやろうよ」
「もちろん! お願いします」
芙蓉はそう言うと、満面の笑みをうかべた。
- おわり -
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