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翌日も、富美子へのいじめは続いた。
富美子が入っているトイレが内側から開けられなくなったり、富美子の学習机の中にカエルが入れられていたり……
可哀そうで仕方がないのだけれど、先生にチクったり、富美子を庇ったりしたら、今度は自分が何をされるか分からないという恐怖心から、奏介は傍観することしかできなかった。
でも、心の中のもやもやは募るばかり。
奏介は帰宅後、たまらず母に、「実は、うちのクラスの棚橋さん、いじめられてるんだ」と打ち明けた。しかし母は、「絶対に関わっちゃだめよ。奏ちゃんがいじめられないように、できるだけ知らんふりしててね」と言う。
何を考えてるんだ、母さん……
毒親にそう言われると反発したくなるけれど……。
奏介はしかたなく塾に向かった。
…………
塾は、思ったほど大変ではなかった。分からない問題があると丁寧に教えてくれる。何より、その時間、うるさい母親から解放されるのがよかった。塾は毎週火曜日と金曜日の午後5時~7時だ。
次の日、クラブ活動が終わって学校から帰るときに、偶然富美子と一緒になった。
富美子は、細身で背が低い。二重で大きめの眼は少し落ちくぼんでいる。肌が浅黒いので、いじめで受けた腕の痣は目立たなかった。
奏介は、「富美子ちゃん。大丈夫なの? 何か見てて辛くて……。でも何もしてあげられなくてごめん」と思い切って言葉をかけた。
すると富美子は、「わ、私のことは構わなくていいよ。だ、大丈夫だから」と答えた。
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