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そんな11月の日曜日の午後、直哉は宏典と人気のハンバーガーショップで昼食を食べていた。
「まさか、直哉が唯美とつきあうなんて、思ってもみなかったよ。それで、彼女とはうまくいってるの?」
宏典が目尻をデレッと下げて聞いてくる。直哉が「もちろん! 毎日学校が終わったら一緒に帰ってる」とのろけて見せると、宏典が「羨ましいなあ」と言って鼻の下を伸ばした。そしてふと思いついたように言った。
「ところで、あれ、またやってみてくれないか」
どうやら5分後アプリを見たいようだ。
直哉は「いいよ」と言うと、アプリを立ち上げる。
しかし何だかいつもとアプリの様子が違う。どうしてだろうと思いよく見て気が付いた。Pushボタンの色がオレンジではなく赤なのだ。
直哉は、少し不安な気持ちでPushボタンを押す。
『5分後……警告! シルバーメタリックのプリウスが病院東交差点を左折します』
「これって、どういう意味だ?」と宏典が訊いてくる。
「僕にも分からない。こんなの初めてだ」と直哉は答えた。
「プリウスが左折することが、直哉と関係があるのかな? 病院東交差点ってこの駅の北の大通り沿いだ。いずれにしても警告っていうのは気を付けた方が良さそうだ」
「たしかにそうだな。でも何を気を付けたらいいんだ?」
「俺にもわからないな」
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