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3.三つ目のトイレ
どうする、どうする、どうする、どうする。
トイレ内の蛍光灯が全て消えたと同時に、パニックになってしまい、勢いで三つ目のトイレに入った。
「どうしよう…勢いで入っちゃったよ…
そうだ!電話!綾に電話しよう!」
スマホ画面を見るが画面は真っ黒。
可笑しい、最初から灯り代わりにと電源は入れていた筈。
スマホ画面をいくらタップしても何も表示されず真っ黒のまま。
「何で⁉︎電源、電源!」
電源ボタンを長押ししても画面は真っ黒状態で電源が付かない。
「電話出来ないじゃん!てか何で電源入らん
の⁉︎」
パニックになり気付かずに大声で叫んでいた。しかし叫んでいるのに綾には聞こえてないのか此方に駆け付けては来ない。
パニックになっていると気のせいか歌が聞こえた。
「誰か居るん…」
その歌声は段々と僕が今入って居る三つ目のトイレへと近付いて来ている気がする。
"ねぇ、居るんでしょ?"
「…っえ?誰なん?」
恐らく、僕が入っているトイレの扉前に誰かが居る。
手が震えてスマホが滑り落ちる。
思考が追いつかない。
此れは夢か?いや、夢だ。
そうやって現実逃避をしていないと、今目の前で起こっている恐怖に呑まれてしまう。
"私ね、多分殺されたと思うの"
何も聞こえない、聞きたくない。
"でも、犯人を見つけるまでは…だから、
この扉を開けて欲しいんだけど…"
やばい、やばい、やばい、やばい。
扉の向こうに居る人物は僕が犯人の可能性を考えている。
いや、僕はニートだが人を殺した記憶など無いし有り得ない。
"お願いだからこの扉を開けてよ…
顔を見せて…"
暗転、僕の意識が遠のいた。
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