01.星読視僧《ほしよみのそう》

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俺は、かつてこの国最高位の星読視僧(ほしよみのそう)――スターゲイザー――だった。 星を読み、未来を()る。 王への進言を赦された存在(おとこ)。 だが、今は国に追われる身だ。 不吉な末路を暗示した星読みが、王の逆鱗に触れた訳ではない。 先代の王が急逝し、第3王子が王位を継承した。 俺は確かに、あの夜、突如現れた凶星を読んだ。 突然すぎる王の死は、自然の摂理に反するもの――暗殺――だった。 星読みは万能ではない。 星も生きており、計算や予測不可能な運航をすることがある。 それでも俺は、先代の王に対し、第3王子のクーデターを()、進言した。 残念なことに王は信じなかった。 星読視僧の占星術よりも、血の繋がりを信じたのだ。
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