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新王即位後、身の危険を感じた俺は、王都から逃走した。
先代の王を暗殺し、軍部の将軍職を手中に治め、実の兄2人を幽閉した若き王。
蛇の様な性格であることは、星で読み解いている。
暗殺の事実を知る俺を放っておくとは到底想えない。
尤も、権力者の思考や嗜好など星を読むまでもなく、分かっている。
俺自身、権力欲の為、自ら志願し宦官となったのだから。
子孫を残すことよりも、今生一代限りでの名声と権力を選んだのだ。
我が氏族の血脈を途絶えさせても。
だから俺は、新王の考えが分かるのだ。
背に腹は代えられぬ。
俺は身分を隠し、遠く辺境の地まで逃げ延びていたのだ。
不夜城の如き王都と違い、辺境の地は夜の色が濃い。
標高も高いのであろう、肌寒く澄んだ空気で、星空が舞台の如く輝いている。
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