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02.森羅万象儀
昨晩、俺は星に従い、見つけた洞穴で朝を迎えた。
王都に残る星読視僧で俺よりも優秀な奴は居ない。
だが、スパイ活動を行う摺奏官は侮れない存在だ。
相当な手練れを用意しているだろう。
先代の王の暗殺を実行可能にする程には。
裏をかき、裏の裏をかき、そのまた裏をかく。
毎夜の星空を『森羅万象儀』に見立てた攻防戦。
相手の行動を一つだけ読むなら、せいぜい十手から十五手で済む。
だが、行動には枝分かれや不特定要素が存在し、
そこまで読み切るには、数百手にも達する。
西国との戦争では千手先まで読み、勝利に導いた。
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