悠馬と私

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 眉を下げて首を横に振った。 「…ごめん、今日はちょっと無理なんだ」  クリスタルロードっていうのは駅前に新しくできたショッピングセンター。女の子なら誰もがあこがれる可愛いファッションブランドや、雑貨屋さんがたくさん入ってる。おしゃれなカフェもいくつかあるから、なんにも予定がない日の放課後は友達とクリスタルロードでショッピングをしてカフェでおしゃべりをするのがこのあたりの女の子たちのお気に入りの過ごし方なんだ。  さっちゃんは可愛い文房具が大好きで、しょっちゅう一緒に行こうって誘ってくれるけどまだ一度も実現していない。  だから正確にいうと「今日はダメ」じゃなくて「今日もダメ」なんだ。  私も行きたいなぁとは思うんだけど、ちょっと事情があって毎日断り続けている。申し訳ないとは思うんだけど…。 「またかぁ」  さっちゃんは大げさにがっかりして肩を落とす。そして口をタコみたいにとがらせた。 「まったく、なぞが多いなぁ、るりは。部活も入っていないのに、いったい毎日何をしているのやら」  じろりとにらまれて私はさっちゃんから目をそらす。そしてしょんぼりとうつむいた。
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