悠馬と私

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「るりちゃん、大好き」なんて言って。小さい頃は私もそれがうれしかった。悠馬は小さくて、本当にかわいい男の子だったから。  学区が違うから小学校は別だったんだけど、弟と悠馬はずっと仲が良くて、あいかわらずしょっちゅう家に遊びにきていた。  家でも悠馬はニコニコとして私にまとわりついてきた。私だって家でそうされる分にはなんとも思わないんだけど…。  でも学校となると話は別だと思う。  それに悠馬ったら中学になってから急に大人ぶっちゃって、今まではるりちゃんって呼んでたのに、急にるりって呼び捨てにするようになった。  本当だったら中学も別の学区だったはずなんだけど、ちょうど私が中学に上がるタイミングで私の家が引っ越しをしたから同じ学区になったんだ。  そして一歳年下の悠馬が入学してきたこの春から同じ学校に通うことになったんだけど、でもまさかこんなことになるなんて…。  私はため息をついてさっちゃんに、 「ちょっと待ってて」 って断ってから、クラスメイトが見守る中、急いで悠馬のもとへと向かった。  そして奴の腕をグイとつかんで、引っ張った。 「ちょっと来て!」 「へ?何?」
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