悠馬と私

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 そう言いながらも廊下をぐんぐん進む私に、悠馬は大人しくついてくる。  途中何人かの女の子に指をさされたような気がしたけど、気にしてはいられなかった。  そして廊下の突き当たり、屋上へと続く階段の前まできて誰もいないことを確かめてから、手を離した。 「いてて、るりって意外と怪力だよな」  手をさすって大げさに顔をしかめてみせる悠馬を私はじろりとにらんだ。 「もうっ!教室に来ないでって言ってるじゃない!」  もう何回目だろう。こうやって悠馬に怒るのは。でも全然効き目がなくて全然言うことをきいてくれない。  今も強く言ったのに、まったく反省してるそぶりはなくてちょっと眉を上げただけだ。 「だって雨が降ってきたから。るりどうせ傘持ってきてないんだろ」  私はうっと言葉につまってしまった。さすが幼なじみ…。私のことをよくわかってる。  でもだからって小さな子供じゃないんだから迎えに来なくてもいいのに!!  …そう、悠馬は部活がない日は必ずといっていいほど、こうやって教室まで迎えにくるんだ。  小さい頃から私のあとをついてまわるクセがいまだに抜けていないなんて、信じられない!もう中学生なのに。
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