悠馬と私

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悠馬と私

「あーあ、とうとう降ってきちゃったね」  放課後、ざわざわと騒がしい教室で誰かのつぶやきが耳に入って私、神谷るりは日誌を書いていた手を止めて窓の外を見た。  今日は朝からずっと曇り空だった。  梅雨のこの時期だから、すっきりと晴れるなんて誰も期待してないけど、いざ降り出すとなるとやっぱりガッカリしてしまう。そういえば今日は朝遅刻しそうだったから、傘を持って出るのを忘れたんだと思い出して、私ははぁとため息をついた。 「るり!帰ろ!」  そんな私のどんよりとした気持ちを吹き飛ばすような元気な声で友達の山下沙希ちゃんが私を呼んだ。 「さっちゃん!でも私、日直なんだ。日誌を書くの待っててくれる?」  さっちゃんとは中学二年生になってからクラスが一緒になったんだけど、明るくてとってもいい子、一緒にいて本当に楽しいんだ。  さっちゃんは「うん、いいよ!」と元気よく答えて私の前の席によいしょと座る。  そして目を輝かせて私を見た。 「るり!今日こそは一緒に行ってくれるよね?クリスタルロード!」  もうほとんど親友っていってもいいくらいに仲良しのさっちゃんのその誘いに、残念ながら私はうなずくことができない。
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