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2 朱天屋敷へ
結局、断るに断れず受け入れてしまった。
結婚というものは、呆気ない。紙切れ一枚で他人が身内になるのだ。
海里の不思議な力で、この白雲という町にやってきた。
「ここは、天に最も近い場所だ。
それと、僕たち神業師が生まれたといわれている場所でもあるんだ。」
「この世界には、」
海里は、少し寂しげな顔で言いながら
歩くスピードを速める。
この白雲と呼ばれる世界には、珍しい着物や袴、髪飾りを身に着けた女性が多い。
異世界の袴のままの姿はこの世界では目立ちすぎるらしい。
不思議に思い海里に尋ねる。
この町の近くに海里や、神見習いが住む朱天屋敷があるのだとか。
「その前にその姿ではこの世界では目立つ。これに着替えるといい。」
手渡されたのは、上品な淡い色で花片が散りばめてある袴。袖にレースが施されている。それに合わせた髪飾りはとても映えるだろう。
いつの間に女性用の袴を用意したのか。
「・・・というか、学校はどうなるんですか。」
「そうだね、通うことなくなったね。そういえば君、家に帰りたくないんじゃなかった?ちなみに、まだ一応婚約だから安心していいよ」
「話しがブレているんですが!」
どうして安心なんかできようか。
渡された袴に着替えていいものだか疑問だった。
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