24-5

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 なんちゅう感情的なアニキなんやろなぁ? と細筒監督はおもった。ヤクザにしては珍しいタイプやな。……でも、役者むきではないな。  権藤がキッと監督を見た。まるで、監督のこころの声をききとったかのようだった。監督はギョッとしたあと、権藤からとぼけるように視線を逸らした。 「……五百万、いったいどうするんです?」三下が権藤に言った。 「だから! これから、こいつに言うんじゃねえかよ!」  権藤は監督にむかって怒鳴りつけた。三下に言いかえせないぶん、監督にむかっては、荒あらしく言ったようだった。 「いいかよぉ」権藤は言った。「これからてめえの持ち物を、いっさいがっさい売りさばいて、金をつくらなきゃならねえんだよ。五百万の金をつくらなけりゃ、おれたちは組にもどることができねえんだよ!」 「……でも、アニキ。ここに、そんな金目の物がありますかねぇ?」  三下が室内を見まわしていた。権藤も室内に目をむけたが、その目が悲しそうになった。――ここにあるのは、売れなかったDVDが詰まったダンボールの山に、しょうもない物が上に散らかったスチール机、ほかには、AVの撮影に使うのか、がらくた同然の小物ばかりだった。
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