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25-1
エリコちゃんの彼氏は超高級外車のオープンカーをニヤケた顔で運転しとって――そりゃ、まちがいなくカネモーやがな! ――そいで、車の運転をミスって事故をして……いや、事故の原因はエリコちゃんやったな。なんとかうまいこと言うて、エリコちゃんの彼氏に金を借りることできへんやろか?
『うちの沢尻エリコがお世話になってます。――ほなら、五百万貸してくれ』……アカンな。
『わしのエリコに手を出しおってからに! ――ほなら、五百万貸してくれ』……アカンやろな。
『沢尻エリコ主演の映画を撮るんですぅ! ――ほなら、五百万貸してくれ』……アカンかな?
そういえば、エリコちゃんはどないしとるんやろか? なんどもこの世とあの世をいったりきたりしとったが、もおええかげん生きかえったんとちがうかな? あれで生きかえれへんかったら、化けて出てきよるわ――きっと。なんとか、エリコちゃんの安否を確認する方法はあらへんかな?
「おい? この電話番号だれのだよ?」三下が監督の顔の前にスマホの画面をつきつけた。「時間からして、おれたちがここにいない間に掛けたようだな?」
監督は自分のスマホの通話履歴の画面に映っている電話番号「090-××××の○×□△」を見た。エリコちゃんの番号や。そやった、”死者の列車”におるときに、十郎はんの目の前でエリコちゃんに電話を掛けてみたんやった。
「細筒よぉ。いったい、だれに電話掛けていたんだよ?」と、三下が言ってくる。「まさか、だれかに助けをもとめたんじゃねえだろうな?」
「掛けてみろ」と権藤が言った。
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