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25-2
三下はにたりと笑うと、「おまえが連絡をとった相手はだれだ? ひょっとすると相手はカネモーかもしれねえなぁ。だったら、てめえの身代金として五百万円用意させてやろうじゃねえか」と画面を押した。
――なんで? こいつは、わしの考えていることが的確にわかるんやろう?
「アニキィ……掛かりましたよ」三下が言った。
「よし、おれに貸せ」権藤はスマホを耳にあてた。
プルルルルーッ、プルルルルーッ、プルルルルーッ、プルルルルーッ――
『Hello?』
「ヘ? ヘロゥ!?」権藤はとんきょうな声をあげた。「も、もしもし? てめえはだれだ?」
『Who are you?』電話の相手が言った。
「へっ? マ、マイネーム イズ ご、権藤だ」
『What’s?』電話の相手は困惑したような声音だった。『John・Doe?』
「おい! 外人だ!」権藤が手でスマホを覆って言った。「三下、おまえかわれ!」
「だ、だめですよ!」三下はたじたじしていた。「おれ、英語なんかしゃべれませんよ」
「おれだってそうだよ!」
『Hello? Hello?』
「ええっと、あのその、な、なんちゅうか、ほんちゅうか……」
と、電話のむこう側から騒がしい物音がきこえてきた。『ここはどこぉ!? わたしはだあれぇ!?』『Oh My God! エリコちゃん! 目を覚ましたんだね!』
「へっ? エリコちゃん?」
『Sorry! I’m so busy!』
「ええ!?」と、権藤はスマホを耳から離して、画面を唖然として見た。「切りやがった……」
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