26-2

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 監督は権藤の気を逸らしてこの場から脱出ができると考えた。――それでや、逃げるふりをして、翔馬くんと愛香ちゃんのところへむかうんや。これならバッチ・グーやろ。ええと? 題して『黒木樹にイタズラ電話・いまパンツはいてるぅ?』作戦や! 「――電話、掛けたらみたら、どないでっか?」監督は権藤に言ってみた。 「へっ?」権藤の顔がこわばった。 「アニキ、おれが掛けますよ」と、三下が手をのばした。 「へっ?」三下が余計なことを言いだしたので監督の顔もこわばった。 「バカッ!」権藤が三下の手を払いのけた。「いきなり彼女に電話して、いったいなにを話したらいいんだよ。こころの準備ができてねえ……」  監督と三下はズッコケた。監督は権藤のほんとうにうぶな様子に唖然とし、三下のほうは、なんとか気をとりなおしたあと、企みのこもった歪んだ笑みを見せた。  三下は言った。「アニキィ、いいですかい? ようやく、細筒の関係者が捉まりそうなんですよ」三下は細筒監督にあごをしゃくった。「こいつに借金の返済ができないんだったら、黒木樹をとっ捕まえて、借金の肩代わりをさせたらいいじゃないですかい」と、三下が権藤の耳もとで言った。「――黒木樹を脅して、金を出させるんですよ! 名案じゃないですかい!」  バッチィーン!
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