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26-9
「わたし、もうおわったのよ」彼女は男に体を揺すられながら言う。「細筒の借金の身代わりになって、そのお金をかえすために、ずっと、ここで、こうやって、働かなければいけないの」
男はひいひいとあえぎ声を出し、黒木樹のうしろで発情した雄イヌのような動きをしている。じつに、不快な好色家のエロオヤジの声と動きだ。
「あなたはこれで安泰ね。わたしが身を売ったお金で組に復帰して、しかも、わたしの値段は高かったから、余計に稼げて組にもいい顔ができるじゃない」
権藤はスーツの袖口、懐、ズボンの裾から、札束が絡みあった蛇のように溢れでてきているのを見て、悲鳴をあげた。
「――アニキィ」舎弟の三下の声がした。黒木樹のおしりを撫でまわしながら、首をひねってむけた男は三下だった。「だから、言ったでしょう。これでよかったんですよ。どうです? アニキも一発ヤリますかい?」
「うふふ……そうね」黒木樹が鼻で笑って、振りかえった。「権藤さん。まだ、わたしのこと犯していなかったわね。わたしとヤリたかったんでしょう? わたしを追いつめて、無理やり犯したかったのよね? 卑怯な手を使って、わたしを逃げられないようにして――」
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