心は墓石の下へ

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 こうして悠馬は和臣とともに、神園家の屋敷で暮らしていくことになった。  本当の子どものように愛情を注いでくれる茜、読めないところもあるが本質的には優しい伊三六、そして大好きな父との生活は、晴海がいなくなってからの悠馬にとって一つの絶頂期のように思えた。幸せだったのだ。  そして、夏がやってくる。たくさんのヒマワリが咲く病院で、千咲が生まれた。 けれど、茜が千咲とともに帰ってくることはなかった。産褥期に心不全を発症し、めまいで転んだ際の打ちどころが悪かった。 茫然自失となった伊三六が、夫として、父としての責務を果たせるように、和臣はそばで支え続けた。茜に受けた大恩を返せないままになってしまった後悔もある。千咲が不自由のないよう、さみしさを感じないように、できる限りのことを尽くした。 和臣の献身を受け、伊三六も立ち直っていった。なにより、守り、愛していくべき存在があったことが大きい。 それから少しして、伊三六の事業が軌道に乗った。比例してどんどん忙しくなっていき、伊三六も和臣も、千咲や悠馬と過ごせる時間は減ってしまったものの、ベビーシッターや悠馬のおかげで、千咲は遊び相手に困ることもなくのびのびと成長していった。
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