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「遠距離だけど夏休みも会えたし、冬だって会いに行くよ。電話だって毎日してるしそれでも別れたい?」
彼女が寂しがり屋なのは分かっていた。僕は上京してから毎日電話をしていたし、彼女が少しでも寂しい思いをしないように精いっぱい努めてきていた。電話越しでは沈黙の彼女のすすり泣く声がかすかに聞こえていた。
「愛美がなにか不安に思ってることがあるなら言ってくれたら不安も取り除くように努力するから、もう一回考え直さない?」
黙ってる彼女に精一杯優しく話しかけた。彼女のことが大好きだし、遠距離で寂しいという理由なんかで別れたくなかった。
「ごめん。もう決めたことだから」
「どうしても愛美と別れたくないんだ。俺のこと嫌いになったとかなら納得いくけど遠距離で寂しいのが理由なら、俺がこの先絶対寂しい思いなんてさせない。だから俺と一緒にいてくれよ」
「・・・・・・実はこっちに気になる人ができたの。ホントにごめん。」
時間が止まったような気がした。手に意識を集中しないと携帯電話を掴んでいられないくらいの衝撃が走り、大粒の涙が僕の頬を流れた。
「どうして・・・・・・」
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