第1話 妖精の記憶(1)

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第1話 妖精の記憶(1)

 どこにも居場所が無い。  ……なんて言うのは、ちょっと大げさ。  でも、私の本当の居場所はここじゃない。  それは、きっと世界のどこかにあるはず。  そこは、辿り着いた瞬間分かる。  ああ、ここだったんだ。  ずっと探してたの。  私は膝を付いて、懐かしさのあまり涙を流す。  一度も行ったことのない場所なのに。  真っ白な足場。透明な風。身の毛のよだつほど高い空。  私はいつも、よそが恋しい。
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