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思わず逃げ帰ってしまったが。
妙に気に掛かる… 言葉だった。
「この屏風は生きておりますので」
確かに、彼はそう言ったのだ。
そんな怪談のような話、ただの与太話、からかわれたのだろうと思った。見かけによらず稚気の残る僧侶だったのかもしらぬ。しかし後日、私はまた件の屏風を見に行ったのだ。
どうしても… 忘れられずに。
開館時間も終わりに近く、人の姿は少なかったが、あの屏風の前に居た。あの、背の高い雲水が。私は僅かに息を呑み、しかしどうしようもなく引かれてそのまま、彼の隣りに立った。
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