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私の手は白くはないけど、私は子ヤギのお母さんになることにした。
最初の話し出だしは、そんな言葉で始めることにした。
私とある少女の関係を、言葉にするのは難しい。ただ一つ言えることがあるとしたら、あの夏私は、「オオカミと七匹の子ヤギ」で、家の中の子ヤギに手が黒いまま家に通された部外者だったと言うことだけだ。
そんな奇妙な出だしで始まった私の話を、ショウくんは何も言わず静かに聞いてくれていた。
そんな私達の目線の先には今、一人の女の子が眠っている。
ウェーブがかった細い髪の毛に、まつ毛の長い女の子。その寝顔はヤギと言うよりかは羊のようだ。さっきまであんなにはしゃいでいたのに、すっかり疲れて寝てしまっていた。
彼女は私の子供じゃないし、ショウくんの子供でもない。
言葉を選びながら、私はゆっくりあの夏した、一つの選択ことを話し出す。
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