神と精霊と巫女の梨

その後

「また果物持ってくるよ」
「ああ。お前、命使うなよ。何を見ても、何を聞いても」
「何それ」
「死なない怪我は最終的には根の王が全部治す。だからこの戦いは終わらないし、終われない。でも根の王は命の木には干渉しないことで有名なんだ。一度目は自分のせいだから治すという確信があったけど、二度目は分からない。
あと、マリオネットはものだから壊れても人とは違う。それから」
「岬！」
　岬は下を向いた。
「違う出会い方をしたかった」
「それ以上言わなくていいよ。俺も監視されてるけど、岬も監視されてるだろ」
　岬は何か言いたげな顔をして斗和を見た。
「岬、仲間にはなれないかもしれないけど、俺は命を削る以外のことは何もできないただの人だよ。神でも精霊でもないから」
　岬は頷いた。
「じゃ、俺帰るから。また戦地で会おう」