あと5分

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あと5分

「じりりりりりりりーーーーーーーーーーん」 無情にも朝のこの幸せなひとときを切り裂くこの音。 『はぁ〜』 心の中でハイハイと言いながら目覚ましのアラームを止める。 それがいつもの日常の一コマ。 たまには優しく起こして頂きたい。 例えば・・・ 「ほら、朝だよ。起きて・・・」とか出来ないわけっ?? 『お願い。あと5分寝かせて』 この時間がものすごく幸せなんだよね・・・。 うん。 気合いを入れて、上半身を起こす。 いつもの。 ルーティンワーク。 ため息も出ちゃうよ。 『さ、今日は朝から忙しいはず。 資料も全てまとめてあるし』 毎日する同じ行動。 わざわざ考えなくとも体は勝手に動くのだ。 考えると言えば、今日着ていく服くらい。 『はぁ〜。毎日こんなんでいいのかな?』 朝一番の目覚めのコーヒーとトーストと卵焼きの朝食を口にしながら朝の番組で天気と占いチェック。 1位だったらラッキーデー。 最下位だったら瞬殺で記憶から削除。 『さて、着替えなきゃ!!』 最後の1口のトーストをコーヒーで流し込みながら少し慌てて出勤の準備をする。 メイクをしながら『もう少し早く起きたらちょっとはマシになるのかなぁ〜?』 『どう思う?』 チェストの上に何故か今でもある思い出のクマのぬいぐるみ。 小さいくせに存在感ありすぎだよ。 なんと言っても今日は金曜! 以前は、花金なんて呼んで朝まで飲んでたけど、もうそんな元気はない。 『枯れすぎじゃない?わたし』 玄関に置いてある姿見でちらっと確認しドアから1歩出たところで違和感に気づく。 『え? 何?』 『どうなってんの??』 落ち着け私!! 目を軽く閉じ考える。 『ん??』 『あれ?』 自分の体を触りながらその違和感が何なのか必死に理解しようとする自分。 『えーーーーーーーっ??!!! なんでぇーーーーーー?!』 がばっ! どかどかどかーーーーーーー。 ばたばたばたーーーーーーー。 バタン ************* 会社に付き自分の席に座りながら乱れた呼吸を整える。 『はぁ〜。なんかすっごい落ち込む」 『どうしたの? 昨日と同じ服だし。 朝起きたら知らない男が隣で寝てた?』 『その方がまだ良かった気がする。 今日は余裕あるかもーってドア開けたところで目が覚めた。』 友人はお腹抱えて笑い始めた。 『何それ? 出かける支度してる夢見てたの?』 『そうみたい.....おかげでいつもなら30分かかるところ5分で家を出られたわ』 終わり
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