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9 この歌が終わるまで
。* ❤︎… 1 …❤︎*。
「はい。ラテ。ソイでよかったんだよね?」
「うん。サンキュ」
彼と出会ったのは、ほんとに偶然だった。
まさか留学先のこの広いロスで高校時代の憧れの先輩に再会したなんて私の幸運使い果たしちゃったんじゃないか?
とは言え、彼は正規留学で大学2年生。私は短期留学生。
泣いても騒いでもきっちり3ヶ月で日本に帰らなければならない。
こちらの大学に編入するための足がかりにするための短期留学。
観光や恋などにうつつを抜かしている訳にはいかないと意気込んでみたものの。
こんな運命の再会みたいな舞台にあげられてしまった。
『青い空、1年を通して温暖な気温』
どのガイドブックにも書いてあるのに!!
「ちょっと、今日なんでこんなに寒いのよぉ」
「はははは、ロスって結構寒いんだよな?俺も最初来た時は同じこと思ったよ。
平気な人達もいるからTシャツに短パンの隣にボアジャケット羽織っている人もいたりするし。何これ?って」
ふにゃっと笑う彼の顔はロスの太陽みたいにあったかい。
一応、寒い日もあるとは書いてあったので1枚厚手のジャケットは持ってきた・・というより日本を出たのが冬だったからなんだけど。
1枚だけじゃ足りないと予定外の冬服を結構買う羽目になった。
それでも、何これーーー??!!!すっごい寒いんだけど。
すぐ崖だし・・目の前海だし、風強いし。
鼻水垂れてないかな??
「ちょっと待ってて・・」
彼は、ベンチから立ち上がり車の方に歩いて行ったが・・・急に立ち上がられるともろ冷たい風が私に当たって更に寒く感じる。
きっとこの冷たい風のせい、いや、それだけじゃない。
遠くに輝くサンタモニカのビーチ沿いに建つホテルの明かり。
楽しそうに光りが踊るピアの遊園地。
目を移せばどこまでも広がる太平洋と星が瞬くロスの空。
今夜で短かったロスの生活も終わり、明日には日本へ帰途につく。
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