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背後からそっとブランケットをかけてくれながら彼の両手が私の肩に置かれたまま動かなくなった。
彼の顔を見たいのに、すっごいドキドキして
このシチュエーションってすっごく心臓に悪いってば。なんか言って。
「ここからの夜景すっげー好きなんだ」
どきゅーーーーん!!
えっ?夜景の話だよね?
落ち着け・・落ち着け・・・私の心臓落ち着け〜〜〜!!
夜景だから・・夜景!
うん。確かに夜景素敵だし。
と、とにかく何かリアクションせねばっ。
「そ、そうだね。ほ、星も・・き、きれいに見えるし・・・」
ぷっ
「えっ!ちょ、ちょっとなんで吹き出すのよ」
「なんか、さ、可愛いなと思って」
瞬間沸騰湯沸かし器になった・・うん。私。湯沸かし器になってる。
ブランケット要らないくらい暑い。
熱めのラテ飲んでいるけど、冷たいの・・冷たいやつ欲しい。
肩に置いてあった彼の両手がふっと離れて、静かにふぅと息をついた瞬間、彼に後ろから抱きしめられた。
「帰したくない」
吐息のような彼の言葉に、ぶわっと私の目が潤み夜景も星も遥か彼方に行ってしまったように見えた。
「そ、そんな事・・・今、言わないでよ」
奥歯を噛みしめてようやく口に出した言葉。
(私だって帰りたくない)
初めての海外生活ということもあって、偶然だけど出会った彼がいたからこそ安心できた。
大学生活のこと、手続き的なこともたくさん教えてくれて、相談にのってくれて彼の友達とも引き合わせてくれて。
なによりも高校時代のこっそり胸に秘めた私の恋の思い出。
つきあうどころか告白すら出来なかったけど、この人を好きで良かったって。
いつの間にか私の両手も彼の腕を抱きしめるように2人で静かな海を眺めていた。
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