5 静寂な5分間

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5 静寂な5分間

****** 「ただいまーーーー!!」といつものように嬉しそうにドアを開けて入ってきた彼に、いつものように「おかえり」と声をかけた。 「夕飯なに?あ、言わないで・・当ててみる」 人差し指を口元にあてながら首をかしげる仕草は・・何となく可愛い。思わず微笑みながら覗いていると。 「そんなに見ないでくれる?なんか照れるじゃん」 「だって、なんか可愛いな・・と思って」 「なんか今更だけどサトミにそんな風に見つめられると・・・な?」 新婚じゃないけれど・・・海外赴任してから周りに影響されちゃったなと思う。 だってそんなに2人で見つめ合ったり、ハグしたりしたことなかったし。 新婚時代をもう一度味わっているみたいな毎日。 日本に帰ったら・・みんなに引かれないかな?? 「聞いてる??」 「あ、えっ??」 「どうしたの?ぼーっとしちゃって? なんか甘い感じの香りがするから・・想像つかなくって」 「あ、ごめん。今夜はね。この間シンディーさんから教わったさつまいものキャセロールだよっ。それとコウイチの好きなハンバーグ。目玉焼き付きー」 ロコモコなんて名前がついているらしいけれど、我が家ではあくまで「目玉焼き付き」で目玉焼きに特別感をだしている。だって、デミグラスソースとかじゃなくってその目玉焼きをつっついてお醤油かけて食べるんだもん。 コウイチ、体大きいのにお子ちゃまなんだよね。スキップしちゃうんじゃないか?って思うくらいにウキウキで寝室に行ったし。 ダイニングテーブルに2人分の食事をセットしている間にコウイチがキッチンに入りながら声をかけてきた。 「おっうまそう。ねぇ〜外、見た?」 「なに?」 「ストーム来そうだよ。テレビ点けておこうか?」 普段は、2人の会話を楽しむために食事中はテレビを点けないけれど、天気が荒れそうな時には警報などを確認するために点けておく。 この地域で巨大竜巻が発生したことは滅多にないし、見た事もないけれど小さいのなら結構発生しているし、それなりに被害も出る。 巨大竜巻が発生しない地域だから竜巻専用のシェルターなんかほとんどの家が持っていない。 だからストームでたまに発生した竜巻の場合は、家の中の安全な場所にすぐ行けるようにしなくてはいけない。 「早めに食べちゃおうよ・・・停電になるかもしれないし。」 今夜はゆっくり食事したかったんだけどな・・。 しょうがないか。
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