チャイムが鳴ったら

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放課後、委員会がやっと終わり教室に荷物を取りに戻る。 遅い時間の教室は静寂が訪れていた。 「あー、もう真っ暗。なんか暗くなるまで学校のために働いていたかと思うと損した気分」 思わず、ぼやく 「暗くなると切ないよな」 織田君が同意。 「そうでしょう、帰り道だって暗くなって危ないんだから早く帰りたいわ」 「……オレ、帰り送って行くよ」 織田君は鼻の頭をポリポリと掻きながら照れくさそうにしていた。 「せっかくだから送ってもらおうかな」 私がそう言うと、織田君は嬉しそうに微笑む。 「じゃあ、帰ろうか」 と、少し先を歩き振り返り、手を差し出した。 「えっ?」 どうしよう、すごいドキドキする。 私、どうしたらいいの? 「カバン持つよ」 あ、カバン…カバンね。うん、カバンか…。 砕け散った胸のトキメキをひた隠しカバンを差し出す。 「ありがとう」 手渡しの瞬間、織田君の手が私の手を掴んだ。 「お、織田君?」 「俺、山下さんの事が好きなんだ。付き合って」
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