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入学式準備
ーー午前8時ーー
生徒会室では入学式に向けての準備で書類纏めをしていた。
コホッコホッ……
誰かが咳をしたようだ。
「陽翔、お前は病み上がりなんだから無茶はするな。」
「大丈夫だよ、一翔。それに、休んだ分僕もやらないとね。」
「またお前はそうやって強がる……。」
「あ、あの…会長さんも副会長さんも真面目にやってくださいよ。」
書記である2年の岳人が2人に忠告した。岳人は陽翔に憧れて生徒会に入り会長が不在の時は副会長と共に仕事をこなしていた。元々陽翔はあまり体が丈夫ではなく一月に必ず数日学校を休むときがあった。これでも、幼い頃と比べるとかなり少なくなった方だ。
「はいはい。岳人も一翔並みに厳しいんだから。」
「おい陽翔、今何か言ったか?」
「いや、何も……」
一翔は僕のお馴染みであり一番の理解者だ。今もこうして、僕のために殆どの仕事を引き受けてくれるとてもいい奴だ。
ーー午前10時ーー
書類を纏めてから2時間が経った。全生徒が多いためかなり時間がかかるのだ。
「よし、終わった。ねぇ、一翔。僕も一翔の分を手伝うよ。」
「お前がやるとよけいに時間がかかる。」
「ちぇー……」
ただ、一翔は生徒会の仕事をしているときは厳しくなる。昔はあんなに可愛かったのに少し残念だ。けれど、僕を心配してくれているからそこがまた憎めんないんだよな。
「副会長さん、こんな感じでどうでしょうか?」
岳人は纏めた書類を一翔に渡した。
「よし、ご苦労だった。わざわざ朝早くからすまなかったな。」
「いえ、僕も会長さんと副会長さんと一緒に仕事が出来てよかったですよ。」
「あとは俺と陽翔でやるから岳人はもう帰っていいぞ。」
副会長に告げられ、岳人は「お疲れ様でした。」と一言言い生徒会室をあとにした。
残った陽翔と一翔は纏め終えた書類を職員室に持っていき、教室へと戻っていった。
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