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「なにかご用ですか?」
「ああ、ちょうどよかった。ここらへんでカマボコ工場をさがしているんですよ」
「うちで作っているのは、カマボコじゃなくて、スルメなんですよ」
「ああ、そうでしたか」
「昔はカマボコ工場はいくつもあったんですけど、最近だいぶ減りましたね」
「金戸蒲鉾って、聞いたことありませんか? この辺りのはずなんですが」
「さぁ……」
女性は太い首を傾げる。
「ちょっと待ってくださいね。知ってる人がいるか聞いてくるから」
そう言って、平屋建てのなかへ戻ってしまう。待つ間に汗が吹き出てくる。気温は三〇度を超えていることだろう。
二、三分ほどして、中年女は男性を伴って出てきた。首にタオルをかけた七十代ぐらいの白髪の老人だった。
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