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穏やかだね、とよく人から言われていました。
優しくて、怒ったところなんて一度もなくて、そして特徴がない。
子供の頃から、その他大勢の中でも一番影が薄い存在でした。
憧れはあります。
例えば、可愛い飾り物。
ストラップとか、髪止めとか。
でも、私がつけるとなんだかやぼったくて、センスがなくて、集めるのは止めました。
例えば、可愛いお洋服。
私みたいな子が来ても、なにも可愛くなれませんでした。
ただ、恥ずかしくて全部タンスに眠っています。
夢はあります。
でも、叶わないことも分かっています。
みんなが持っているものは、私には一生手に入らない。
ずっと、柔らかな空の色を見上げて諦める。
12年間、そうして生きてきました。
そして今日、制服のスカート丈を変える度胸もないまま、中学生になりました。
如月 琴葉(きさらぎ ことは)
これは私が小さな1歩を探すお話です。
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