占い

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「あんたの事、忘れられないみたいねぇ。」 ・・・・ 「別れたことをずっと悔やんでいるようよ。 ふとした時にあなたの面影を追っているわ。」 「じゃあ・・後悔するくらいなら何故私に冷たくなってしまったのでしょうか・・。」 「・・・ちょっと待ってね。」 ・・・・ 「時間がほしかったみたい。ずっとあなたから連絡していたんでしょ? 彼が忙しかったのに、あなたは会いたいって自分の気持ちを押し通してきたんじゃないかしら。」 ・・・・確かに・・・いつも連絡は私からだった。 いつも私から会いたい、会いたいって一方的だったかもしれない。 「取り敢えず彼はあなたを待っているわ。」 「有難うございました。」 「まだ5分あるけど良いの?」 「大丈夫です。有難うございました。」 彼は私と別れたことを後悔している・・・。 彼は今どんな気持ちでいるんだろうか。 私に会いたくて胸が苦しくなることも有るのだろう・・・。 あの思い出の曲を聴いて切なくなっているんだろう・・・。 ふと私の足元に秋の風が転がり込んだ。 穴が開いていた私の心に一筋の風が吹き、徐々にそれが埋まっていくような気がした。 私も彼に会いたい・・!走り出した気持ちと足。体と心は繋がっているのだ。 その時である。 私の目の前に彼が現れたの。 しかも、可愛い女性と手をつないでいるではないか。 どういうこと?彼は私の事が好きなのに・・・。 お姉さん?いや違う。違う。だってこの人、彼と同じテニスサークルの女子じゃん。 2人は私の事は視界に入っていないようで、そのまま百貨店に入って行った。 私の喉に熱い棒が差し込まれた。ような気分になった。 足が動かない。 これは一体・・・? これはどっきりだろうか? いやこれは真実?・・・真実。 夢ではない。 あと5分遅く占い師さんのおうちから出ていたら、二人の姿を見る事は無かっただろう。 真実を知る事は無かった。 五千円無駄になった。 いやでもこの五千円で私は真実を知ったのか? あと5分、あと5分遅ければ・・・
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