星の降る丘

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父も寝静まった午前1時頃、俺はこっそり家を抜け出した。昔、母とよく流れ星を見に行った丘を目差し歩き始めた。 母の隠れスポットだったのだろう。人は誰もいなく綺麗な星空だけが広がっていた。 30分ほどぼーっと眺めていると何かが流れていくのがわかった。流れ星だ。 すると流れ星が四方八方に流れ始めた。昔、母と見に行った時とは比べ物にならないくらい美しく、儚かった。 流れ星が消えるように俺も消え去りたい。苦しみたくない。そう思いながら俺は3回、流れ星に向けて願いを言った。 「俺をこの世から消してください。 俺をこの世から消してください。 俺をこの世から消してください。」 そう息継ぎをせずに言いきった瞬間、どこか懐かしい匂いと暖かい何かが俺を包み込んだ。体は一気に軽くなり、耳元でこう囁かれた。 「がんばったね。」 ああ、もう苦しまなくていい、解放されたんだ。そう確信した。
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