神のものではなく

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神のものではなく

「っ、あぁ、神よ!」 堪らず、オスカーはリュカの華奢な体を思い切り抱きしめた。 神をも恐れぬ禁忌を犯しながらも、神の名を呼ぶ矛盾を意識することもなく、ただ腕の中の温かい体温に心を奪われた。 軽い体をそのまま抱き上げ、オスカーは立ち上がる。 「愛しています。ずっとずっと、あなたに焦がれてきた!あなたに触れたくて仕方なかった!」 「……っ、私も、ずっとあなたに触れられることを、夢見ておりました。こんな日が、来るなんて……っ」 耳元で囁けば、感極まったような震える声が絞り出された。 オスカーの心をかき乱す甘い声が、どうしようもなく愛おしい言葉を紡ぎ出すのだ。 もう、どうしようもなかった。 「どうか、私のものになってください」 オスカーの情けない懇願に、リュカの透き通る瞳からポロリと美しい涙が零れ落ちた。 「あぁ……あぁ、あぁっ!」 ぎりりと奥歯を噛み締めながら、リュカが苦しげに胸を押さえて叫んだ。 「私は神子失格なのです。神の慈悲よりもあなたの愛を求めてしまう……あなたの熱を欲してしまう……!」 「リュカ様ッ」 その言葉に歓喜し、オスカーは足早に奥の寝室へと足を進め、柔らかな寝台の上へ細い体を横たえた。 「それを言うのならば、神子を穢そうとする俺は、神をも恐れぬ大罪人でしょう。……けれど、神の怒りも怖くないほどに、愛しています。私の神子」 「オスカー殿……」 押さえきれない激情に、オスカーの視界が潤み、リュカの無垢な瞳が揺らぐ。 懇願の眼差しでリュカを見つめるオスカーの震えを止めようとするように、リュカはそっと両手をオスカーの頬に添えた。 リュカは一度恥ずかしげに目を伏せた後、これ以上ないほど幸せそうに微笑んだ。 「……あなたの手はきっと温かくて、あなたの胸はきっと大きいのだろうと、ずっと想像しておりました」 頬に触れていた両手をオスカーの首に回し、リュカは躊躇いがちに抱きつく。 そして頬を赤く染めながら、夢を見ているかように呟いた。 「こんな幸せが、この世にはあったのですね」 「リュカ、さま」 寄せられた体から伝わる熱に、オスカーの腹の奥がどくりと脈打つ。 オスカーはリュカの小さな体を思いのままに抱き寄せ、背骨を折りそうなほどに強く強く抱きしめた。 そして、熱を持ち、固く猛った欲望を、躊躇うことなくリュカの薄い腹に擦り付ける。 清らかな神の御子には、決して相応しくない、それを。 「ふふっ」 けれどリュカは幸せそうに笑いを漏らし、オスカーの耳元で甘い声で熱く乞うた。 「どうか、私をあなたのものにして下さい。……神のものではなく、あなたのものに」
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