恋に落ちた朝

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恋に落ちた朝

まだ十代半ばの頃。 近衛騎士になったばかりのオスカーが、王太子であった現王とともに初めて神殿に上がった日。 清らかな雪がはらはらと降る朝に、神殿の静謐な湖で、リュカは禊をしていた。 それは、たとえ王であっても侵してはならない聖域であり、邪魔してはならない神事だった。 屈強な男であっても凍えて震えてしまうほど冷たい湖の中で、ほんの十歳ほどの少年が水を浴びていた。 そして禊を終えると、神を讃える歌を歌いながら、透明な水と戯れるように軽やかに舞った。 「アレが、我が国の要……我が弟にして、この国の神子。そして、次代の予言者だ」 どこか羨望の混じった声でポツリと王太子が告げた言葉に、オスカーはひとつ息を呑み、そして言葉もなく頷いた。 この世のものとは思えないような清らかさ、透明さ、静謐さ。 あまりにも美しすぎるリュカに、一瞬でオスカーは恋をしたのだ。
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