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電話を切って周囲を見回した、すると話している間黙っててくれたのかのように、再び割れんばかりの蝉時雨が聞こえてきた。
それから私はひとり、五重塔を見上げた。私の位置から見るとちょうどてっぺんのところに太陽がある。梅雨の合間の晴れた暑い日、今まで雲に遮られた鬱憤を晴らすかのように照りつける、強く、厳しいくらいに。
私は、その眩しさに目を細めていると、さっきまで流れていた涙はいつの間にか乾いていた。
私は最後のカードをかばんに収め、内容が空欄の三枚を元の場所に戻した。今年の夏には持ち主が回収してくれることを願って――。
そして、封筒に一言、メモを添えて――。
見つけてくれてありがとう
なお、このカードは有効期限はありません
『おやくそくカード』 おわり
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