始まり

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それからというもの落ち込みに落ち込み、勉強も頑張って、就活も頑張って、とにかく友達を大切にをモットーに生きてきた。 でもふとした時に優の笑顔が浮かんで涙が出た。 優と別れて1年が経ち、就職も決まってのんびり残りの大学生活を送っている。もともと事務希望の私はそれなりの資格も取っていたし、パソコンもお手の物だ。 経理に就職できたらいいなって思っていると、たまたま巡り合えたのは税理士事務所だった。 業務内容は違うにしろ、早めに内定をもらえたので入社までにいろいろ勉強もできた。 それに、お給料も良かったから実家に帰らずに一人暮らしも続けられそうだった。 その日はハロウィンイベントが終わり、飾りつけをやり直さないといけないという面倒くさい日だった。 たまに土日の昼から一緒になる岩崎さんという子が一緒のシフトで、声をかけても一言二言しか返ってこないようなややとっつきにくい子だけど仕事は真面目に黙々と片付けていってくれるので彼女と一緒の日はバイトが嫌ではなかった。 夕方になりお客さんが増え始めたころ、彼がやってきて私と岩崎さんのレジ両方とも空いていたのに岩崎さんのほうに向かった。 ちょっとがっかりしていたら、なんとあまりお客さんとも話をしているのを見たことなかった岩崎さんが彼と話をしていた。 しかも親しそうに笑っていて、岩崎さんは顔を赤くしていたのだ。 私も何回か彼のレジを担当したことがあったけど声をかけられたことも笑顔を見たこともなかった…。
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