始まり

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その日のバイト終わりの時間が岩崎さんと一緒だったから彼のことを聞きたくて迷惑を承知で話しかけてみた。 「ねーねー、さっき岩崎さんが話してた男の子って彼氏?」 あっ、やっぱり迷惑だったかな…一瞬沈黙があって岩崎さんは首を横に振った。 でも岩崎さんと付き合ってるわけじゃないんだ! 「えー!めっちゃ格好良かったよね!知り合い?彼女いるのかな?」 「彼女はいます。最近付き合い始めたって聞きました。」 グイグイ聞いてみると少し眉間にしわを寄せて目線が合わないまま岩崎さんは答えてくれる。 「え~!残念…。岩崎さんは?彼氏いないの?最近雰囲気が柔らかくなって笑顔が可愛いよね!私の友達もたまにくるけど岩崎さん紹介してって子多いよ。」 最近私よりもよくこのコンビニを利用する友達が気づいて言われたことだった。 「そんな…人違いです…。」 あっ、照れた。この子はすぐに顔が赤くなるらしく、それを隠すようにうつむいた。 そのしぐさが可愛くて彼女のことが気になった。 「いやいや、明らかに変わったよ~!やっぱり彼氏出来たりとか?」 赤い顔でこちらをちらっとみて頷くと慌てて着替えはじめた。 「あー、そっか…やっぱりね~!可愛いもんね!付き合ってどのくらい?」 女の子って何か月記念とかって大好きだからすぐに返事が返ってくると思ったら、岩崎さんは指を折って数え始めた。それがなんとも岩崎さんらしいなって思ってつい笑ってしまった。
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