始まり

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それから岩崎さんと一緒のバイトの日はなく、クリスマス直前の土曜日に久しぶりに彼女に会った。 その間彼のことはごくたまに見た。あの日以来一人で来ることもなくていつもの友達と来ていた。 岩崎さんと帰りの準備をしているときにダメ元で声をかけてみた。 「ねぇ、岩崎さんってこの後はやっぱり彼氏のお迎え?」 「えっ?いえ、今日は忘年会に参加してて来れないです。」 「じゃあさ、この前せっかく仲良くなったから一緒にファミレス行かない?私お腹すいてて…さっき食べたおにぎりじゃ満たされてないのよ~」 あっ、やっぱり少し迷惑そうな顔をされてしまった…。 「あっ…忙しいなら無理にって訳じゃないのよ。無理ならお弁当買って帰るし…」 「いえっ、すみません…そんなんじゃなくて…あまり友達いないからこういう経験がなくて…びっくりしただけです。」 「アハハッ、岩崎さん面白いねっ。私も茉莉ちゃんって呼んでいい?私も由実でいいから。ねぇ、暇なら行かない?」 なんだ、迷惑じゃなくて戸惑ってただけなのか。 「は、はい。私もお腹すいてて、嬉しいです。」 「ハハッ、お腹すいてるから嬉しいの?おもしろすぎっ。」 「いえっ、誘ってくれて嬉しいって意味です。」 わかってはいたけど、私も誘いにのってくれたことがうれしくてついからかってしまった。
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